THE INNER
LAKE
深い深い心の底に
青い青い湖がある。
その湖には大きな竜が一匹眠っていて、
いつか来る日を待っている。
いつ目覚めるのかわからない。
すでに目覚めているのかもしれない。
幾度かその湖を訪れたことがある。
水の中にあっても苦しむことはない。
その竜に出遭うために、彼を認識するために
深い心の底へと旅をした。
その竜はわたしにインスピレーションを与える。
「本当ノコトヲ知ルタメノ」インスピレーション・・・
「気付キナサイ・・・」と。
そのインスピレーションは強く温かい。
大きく地面が揺れ、
世の中の全てが狂い始めた日、
わたしは再び竜に会いにいく。
深い深い湖はいつもより深く、
まるで宇宙のように闇に包まれていた。
探しても探しても竜はいない。
次第に、闇の中にいくつかの明るい水泡のようなものが現れた。
水泡は足元のずっと深いところから立ち上ってくる。
いくつもいくつも。
どんどん明るくなる。
やがて、巨大な水泡がふたつ上がってくるのが見えた。
その瞬間、ひとつの巨大な水泡は天へとものずごいスピードで昇っていって、
そのあとを続くようにもうひとつの水泡はわたしの身体をすっぽりと包み込んで
あとに続いた。
ふたつの水泡は地球の外にまで上がっていた。
ふと見上げると美しいガラス細工のような女性が水泡の中から
こちらをみつめている。
彼女はふと声をもらした。
こちらの水泡の中へ声が響く。
言葉はよく聞き取れない。
ただ、
「訪れることなく、いつでも遭える」というような意味だったように認識した。
彼女は頷いた。
なぜか涙がとめどもなく溢れた。
竜が目覚めたのか?
竜はまだ眠っている。
では、あれは誰か?
あれは、わたしの好きな「場所」そのものだ。
湖のそこに音がこだまする。
湖の底に命が眠っている。
それはわたしのまだ知らない命だ。
きっと、命が絶える日にわたしを連れて行ってくれる懐かしい「命」
竜はきっとわたしの分身なのだ。
Can you find me ?
2001/03/29 by R
|