朝日が東の空にのぼり湖面を暖めると風が吹き始めた

孤高のハヤブサはデスウオールの対岸の峰から飛び立つと

ゆっくりと湖の岸辺の沿って旋回しその記憶を辿るように

かすかなサザナミを楽しみながらていねいに飛ぶ



「ヤツはいつの間にあんなカンペキな技術を身につけたんだ

まるで芸術だ。」

今朝の風は彼スピードのためだけかのように起き

湖を一周する間にほんのニ三回羽ばたいただけで

大胆センサイに目指す峰のふもとに向かった。

満開のコスモスの花びらが 

瞬間爆発炸裂

したように大きく舞い上がり

散った風がムラサキ色に染まる。



「ドラゴンヘッド上昇気流だ!」

湖の谷の誰もが息を呑んだとき

漆黒の矢が一閃

紫の風に飛びこみ消え去る



「すべてをゆだね 本能に従え。」



いつものFALGODが夢の中で言ったか自分で思ったのか

時が止まっているのか進んでいるのか

あなたにもスピードにも解からない。耳をつんざく気流の轟音にも

消えない濁りのないピュアな詞だ。

切り立った山々の連なりの向こうに湖の谷とはくらべようもなく

広大なうみとそのたおやかな波と空を

翼の先に見た

文字通りその果てはない。  



耳を澄ませ沈黙の空の彼方に気流の鳴る音を聴く

あなたも彼も一体どこに誘われてくのか

皆目見当もつかなかったが

何かが体中に満ちはじめるのを

確かに感じていた

WISH

FLASH  

諦められる希望さ
  
FRESH

 




by S











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