夢で聞いたキーワード
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その夢はとても象徴的で意図的なものを感じるシーンの連続でした。
鈍い光を放つ鉱物の塊のようなビルの中にいる。
それは空港のようだった。様々な言語でアナウンスが流れる。
吹き抜けのロビーには行き交う人が見下ろせる。蟻のように小さな人はその国の別もわからない。
わたしは32階にいた。ロフトのように吹き抜けの中に突き出たスペースに座っていた。
これから出かけるのか、誰かを待っているのかそれはよく覚えていない。
多分、出かけようとしているのだろう・・・。
一人でベンチにすわって手帳を眺めているとバンカラな浴衣姿の男がやってくる。
下駄の音が金属に反響して響く。人々の動きが止まる。
彼に意識が集中する。
その男は190センチメートルはありそうな巨体でわたしの前に立ちはだかり、
「なにか書くものを借りられませんか?」という。
カバンをさぐると色んな種類の色んな色のペンが入っている。
丁度2本あった黒い水性のペンを貸す。男は前の空いた席に腰掛ける。
「先ほどから観ていたのですが、珍しいデザインの指輪ですね?どこのものですか。」
そういえば私は右手中指に確かに変わった指輪をしている。
「ああ、これはエジプトの骨董です。ラピス、で、出来ているんです。古いものです」
たどたどしく応える。指輪は錠前のような形をしている。大きさは2,5センチほどだ。
「みせていただいてよろしいですか?」
男は好奇心剥き出しである。指から抜いて差し出した。
「へえ、これはこれは調合金のようだ。石なのに番(つがい)があるように動くなんて、これは珍しい細工だ。」
そういえば、珍しいのかもしれない。
「色もラピスでありながら、翡翠のような透明感をもっている。」
宇宙の中に透明な雲が浮いているような色をしていた。
突然左手に金の小さな鈎を握っていることに私は気づく
。
「あ、これをですね、ここに・・・」
そういいながら、ラピスの錠前のあたりに金の鈎を差し込む。
ぴたっとはまる。
途端、地球が振動し始めた。微振動・・・
・・・再生が始まった・・・と思う。
頭に声が響いた。重く、深い声が響いた・・・。
コ レ ハ チ オ ン ノ 法
・・・知恩の法ってなに?
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この夢が忘れられず、いろいろ調べてみると、実は「知恩の法」は、実際に仏教用語として存在することが分かった。
要は、知恩院の「知恩」なのである。そしてそれから何日もたたないある日、深大寺の朝の読経に参加した後、住職さんがまさにそのことを講話されていた。
「知恩とは、見えない大いなる力を認識すると言うこと。
暗いところから力が加わっている。つまり「陰」なんです、見えないんです。
しかし見えないけれどもその力が間違いなく働いている。こういう発想は仏教が教えたんです。
これが「意味の感得」ですが、これを失っているのがまさに今日の現状でしょう。」
(by R)
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