気流の鳴る音


「だいたい、手際が悪すぎる。だから同じ翼を傷めるのだ、

自分一人の力で飛ぼうなどとうぬぼれ以外の何物でもない。一体何様のつもりだ。」

夢の中でFALGODに諭されるがいつも素直になれず翼をギリギリまで傷めつけられ

そのたびテングの鼻がへし折られる。

ウンザリするほど何度もプライドが粉々に砕け散って

ようやく飛び方を学ぶ不器用な

ハヤブサだった。



「いいかげんにしてよ。なんで勝手に決めて行っちゃうのよ,

私を一人にする気なの?」

「はやぶさのオキテに従え,スピード。禁止区域に今度飛びこんだら懲罰だぞ。」



『自分でもわからないけど年に一度だけあの峰の先に現れる

底抜けに青い大空を見たときからさ、どうしてもそうどうしても

飛んで行きたくなってしまったんだよ。』





あなたは毎朝同じ道を歩ききのうの足跡をたよりに今日一日を過ごす。

一歩目は新鮮だったが

知らず知らずのうちにまんまと自分の堂々めぐりに囚われて

空っぽのおのれに知識だけを詰めこみ

周りには壁を築いて何も見ずごまかし

美も自然も遠ざけ

ありのままのあなたとは程遠く愚かだ。




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